住宅づくりのトラブル防止と失敗しないための基本姿勢
どんな仕事でも全体の仕組みと流れが理解出来ると作業スピード、精度、出来映えが高まるものです。そして失敗も少なくなるものです。
これは、自分の行動順番を事前に自分の頭で理解して自分で指揮を出しているからです。指揮が出なければやるべき作業を前にしてウロウロする時間ばかりが多くなって、次第に失敗の泥沼にはまっていくことになります。
住宅造りも全く同じ事です。プロに任せておけば大丈夫と考えてはいけません。建築主と利害関係にある者は結局は自己の利益を追求します。また、誰もボランティア行為で建築主の住宅造りに参加する者はいません。
住宅新築は数千万円の予算を必要とします。日常生活用品の支出とは比べものになりません。しかも30年以上も掛けて消費していくものですから、途中で家族構成が変わったり時代に合わせた家電を導入することは良くあることです。そうなると当初住宅に求めていた価値観自体も変わってくる、と言う極めて不安定要素の多い消費なのです。
新築住宅の間取りや機能に何を求めるかは十人十色です。そして住宅新築工事を請け負う業者はどこの地域でも身近な地場工務店からハウスメーカーまで数十社は候補に挙げられます。
しかも建てる土地は世界で唯一無二の場所なのですから、出来上がる住宅は千差万別です。ここに住宅新築の特異性がありトラブルが発生しやすい原因ともなっています。そして住宅業界が「クレーム産業」の代表格とも言われる所以でもあるのです。
したがって、トラブルを防止して失敗しない住宅造りを進めるための建築主側の基本姿勢は次のとおりです。
- 事業の目的と価値観を現代だけでなく見通せる限りの将来まで含めて検討すること。
- 事業全体の構図と流れを把握し自ら指揮を執ること。
- 利害関係で対立する者には事業の一部であろうと指揮を執らせないこと。
- 自ら指揮を執れない場合は自分側に立つ人間に委任すること。
- プレハブ化された住宅にしても設備にしても注文生産であり、注文ミスは建築主の負担となることを理解すること。
- 無料で設計や見積を繰り返したがる業者はいません。好意的にだけ受け止めないこと。