ローコスト住宅の手法を取り入れて自由設計の注文住宅を目指せます。

ローコスト住宅を作るテクニック

ローコスト住宅を実現するためには各社種々の工夫を凝らしています。次にその基本テクニックを列挙します。

  • 総2階にすること
  • 平面形状に凹凸を付けないこと
  • 外周総長を平面の巾と長さの比が4間:5間のように外壁材1枚当たりの長さ1.5間の倍数にすること
  • 平面的に1階と2階を同じ形の田の字型区割りとして、上下の間取りをほぼ一致させること
  • 建物の外壁高さは必要最小限として外壁材1枚当たりの高さのちょうど倍数となる様にして切断の必要がないようにすること
  • 部屋の高さは内装下地材の寸法に合わせ出来るだけ切断の必要がないようにすること
  • 使用する木材の樹種と断面の種類は出来るだけ少なくし、他の部分へ切り回しが出来るようにすること
  • クロス材やクッションフロア材はパターンのリピート合わせが必要のないものを使用すること
  • 収納や仏壇、床の間、神棚は最も工賃が発生する部分だから必要最小限か造らないかとすること
  • 外部や内部建具のサイズと種類を絞り、開口部廻りの造作作業を効率化すること
  • 外部や内部建具の数を違法にならない範囲で最小に押さえること
  • 基礎は違法にならない範囲の必要最小限の仕様とすること
  • 水道・下水道の配管は後の維持管理を無視しても簡略化すること
  • 電気配線は回路数を押さえていわゆるタコ足配線を多用すること
  • コンセントは部屋に1ヶ所を、テレビ配線用配管は全体で1ヶ所を標準とすること
  • 灯具の壁スイッチは出来るだけ配置しないで、ひもスイッチかリモコンスイッチとすること
  • メーター工法を採用し尺貫法の間隔より広げて(例:柱間隔を1.82mを2.0mに)部材を配置し部材密度を下げること
  • メーター工法を採用し2m×2mを一坪(4.0u)と称し職人工賃を1.82m×1.82mの場合の尺貫法の坪(3.3u)の場合と同じで発注すること
  • 間取り、外観、造作パターンに統一性を持たせ作業効率が上がった状態での工賃契約とすること
  • 主要部材や設備は同メーカー、同シリーズ、同グレードを決めてメーカーと年間仕入れ契約で安く仕入れすること
  • モデルチェンジによる売れ残り在庫品を安く手に入れる
  • 安く入る資材は大量に仕入れて違法にならない範囲で他の部位に利用する事
  • 建築プランを絞って設計図も見積も使い回しすること
  • 現場監督は出来るだけ他の現場と数多く掛け持ちさせること
  • 建築資材は元請け業者が大量購入し下請け職人に提供すること
  • 下請け施工は一人親方的な職人を採用して手間渡しとして、施工ミスした場合の損害補償を約束させること

 

要は、

  • 安く資材や設備を仕入れること
  • 資材は切れ端まで利用して廃材を少なくすること
  • 資材密度を下げること
  • 資材や出来上がり寸法は法基準ぎりぎりとすること
  • 下請けに安い労力を入れること
  • 施工ミスで元請けが損しない素地を用意すること
  • 細かい造作で労力が掛かる部分はやらないか数を減らすこと
  • 最大限パターン化を図り、全ての労力を効率化して削減すること
  • 将来のメンテナンスより建築時のコストを優先すること

と言うことになります。

 

これらの手法は自由設計の中に節約志向を取り入れて設計を進める際にも役立ちます。

 

本サイトの「パッと木造見積」では、ローコストの場合の手法を見積に直接反映させることは出来ません。

 

応用テクニックとしては、ローコストメーカーのお勧めプランでの見積を「パッと木造見積」の内訳に合わせて徴集した後に、「パッと木造見積」の入力をメーカーの間取りで入力し工事費が同じになるようにグレードアップ係数や地域指数で調整をします。その後、そのままの係数・指数でご自分の考えた間取りで入力してみれば近い見積が出来ると思います。

新築住宅の適正価格又は相場

木造軸組在来工法、プレハブ工法、自由設計タイプ、規格タイプ、節約志向タイプ.....等の様々な住宅づくり手法がある中で、その全てのタイプについて新築住宅の適正価格又は相場を論ずるのは同じ土俵での比較にならない以上無意味です。

 

木造軸組在来工法一つにしても自由設計、こだわり、節約等の志向によって工事費は異なってきます。その中で適正価格を見出すには、作業項目毎の資材数量と単価そしてそれに対する工賃を相場と比較することが必要です。

 

そして、工事費用全体の中で建物として残る部分の割合が高い程、建築主として適正価格と感じるところが大きくなります。

 

したがって、適正価格であるかどうかは提出された内訳明細書を分析し判断するしかありません。内訳明細書のない見積は初めから建築主が適正価格の判断をできないように意図しているわけですから、よほど身構えて対処しなければなりません。

 

 

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