在来軸組工法はネダレス工法が主流となって、住宅設計もその長短所を捉えて進める必要があります。

住宅はそこの土地に生えるキノコ

新築では間取りが最も重要な要素となってきます。そこには、家族一人一人の癒やしと、家族団らんでの癒やしが形作られていなければなりません。癒やしの価値観は一人一人が違いますし、家族毎にも違います。

 

癒やしの場としての趣味スペース、団らんスペース、ペットスペース、何かと入り用な応接スペース、家事スペース、育児スペース等は部屋としてはなくとも共用スペースとして確保したくなります。そして、これらが他のスペースとの共用切り替えを容易にする工夫とかも検討しなければなりません。

 

次に構造、デザインや仕上げ、設備、断熱や遮音性能、バリアーフリー、メンテナンスやリフォームの難易、ペットとの共生、2世帯住宅、防火対策、避難や消防設備等と検討を重ねていきます。

 

新築は、増・改築やリフォームと違って白紙からの計画ですので、敷地や予算、建築基準法等の制約はあっても設計の自由度は非常に高く、建築主の理想に最も近い形での計画が可能となります。

 

世界でたった一つの家族のための世界でたった一つの住宅を作るのが本来の住宅造りです。

 

であるからこそ、後で後悔しないよう入念なプランを心がけなければなりません。

 

本来、建物はそこの土地に生えるキノコであり、そこの地域風土と建築主の思想に大きく左右されながら形状や性能が必然的に決まってくる物であり、雑誌や展示場を見て気に入ったからといって、簡単に建築敷地に当てはめられる類いの物ではないのです。

特殊な工法や仕様の住宅建築はよく検討して

ハウスメーカーには独自の構造、工法、仕様をアピールすることで他社との差別化を図って建築主の関心を引きつけ、成約に結び付けようとしているところが多数存在します。

 

住宅は耐震性や耐久性そして断熱性等で競い合うような単なる器ではないのです。既に現在の建築基準法やフラット35仕様で計画され、しっかりした管理での建築がなされた現代の住宅は、構造や工法を問わず申し分の無い性能を有しています。

 

それが、当社の工法はどうのこうの、内装や設備はどうのこうの、値段はどうのこうの等と”物”としてのアピールに始終して関心を引こうとします。まるで、住宅は店頭に並ぶ商品だというような意識を植え付けられ、建築主も「それが普通」と思うようになってきました。

 

本来、建築に携わる者は、住宅造りのポイントはどこなのかを建築主にアドバイスをし、そのあたりからお付き合いを始めなければなりません。その家族のための住宅をコーディネートするような面倒は後回しにして、営業マンによって、まず顧客を引きつけることしか考え無いような建築業者が多数存在します。

 

どうして、住宅展示場では建築士が中心となってお客様を迎え入れる体制を整えないのでしょうか。お客様に親身になってプランを一緒に練ってくれる者がそこにいれば安心感はだいぶ違うと思うのですが、皆さんはどう思いますか?

 

建築主が建築に関してあまり勉強をせず建築業者と接触するのも良くないのですが、営業マンに自社の特殊な工法や仕様を説明され感銘して、肝心な間取りや造作の自由度が低い企画(規格)化された建物を選択してしまうこともあります。もっと、住宅に求められる癒やしを追求してから決定しないと後悔が出てきますので注意しましょう。

 

プランを企画化された住宅は選ぶだけで建築着手でき入居できるという手軽さは否定できませんが、これでは、まるで住宅市場は商品売りの営業マンが中心にあるかの如く錯覚してしまいます。

 

また、仕様を規格化された住宅は契約後に気づいた隠れた問題点につい規格化部分の変更改善を求めても、そう簡単に応じられることはありませんので、高額だったと言うだけの買い物にならないよう注意しなければなりません。

 

したがって、企画や規格化された部分を含んだ住宅を契約する前に一つ一つ梱包を解くつもりで中身を確認することが大切です。

 

特殊工法や企画・規格化された住宅の中身を確認する際には

  • 軽量鉄骨造の柱や梁の振動と結露対策は難しく火災時の変形も早く建物が崩れやすい。
  • 鉄筋コンクリート造の防水と内断熱には注意が必要で設備配管や配線の変更は困難。
  • パネル工法は間取り変更をともなうリフォームや壁内配線変更が難しい
  • 木造在来工法は乾燥材を利用しても建具に微妙な狂いが発生しやすい
  • 特殊な仕様の製品は壊れたときの代替品がない場合がある

等を十分理解し、中身に潜む問題点を解きほぐして決定していくことが肝要です。

木造住宅の価値は時代が変わっても色あせない

建築物には住宅、共同住宅、店舗、工場、医療施設、学校、福祉施設などの用途種別と木造、ブロック造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造等の構造種類があります。

 

最近では、どのような用途の建物でも「木造で」と言う風潮が民間・公共建築物を問わず浸透してきています。

 

その理由は、

  • 「木のぬくもりの中での生活」が精神的に良いこと
  • 木製柱や梁の耐火性能と技術が高まって来たこと
  • 大型木造の構造技術が高まって来たこと
  • 断熱性能が高いこと
  • 改修をしやすいこと
  • 他構造材よりCO2 排出減少による地球温暖化対策にも有効であること
  • コスト的にも安くなりやすいこと

等が挙げられます。

 

住宅建築の工法は木造在来軸組工法の中でもネダレス工法をお勧めする理由を前ページで述べました。特殊な環境や地域性がない限り、住宅建築に携わる建築士で木造在来軸組工法を採用することに否定する方はいないはずです。中でもネダレス工法を採用する建築業者はどんどん増えています。

住宅新築には文化的創造性が要求される

当事務所では木造軸組構造での住宅、店舗、工場、医療施設、福祉施設の設計経験を多く有しています。

 

建築物を規格化された工業商品と捉えないで、建築主、建築士、施工業者で造り上げる文化的創造物と考えて取り組んでいます

 

住宅の場合は一人一人のライフワークや趣味、一家団らんのスタイル、隣接者への配慮等を最大限計画に盛り込んで完成に向けておりますので是非一言声を掛けてみて下さい。

 

 

木造在来軸組工法での新築工事

建て方 

外周合板 

建て方

外周を全て構造用合板貼り

 

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住宅の増築設計は技術的にも法的にも新築より難しい問題を抱えております。増築工事を計画する際には建築基準法への適合と、技術上の可能性を検証しなければなりません。まずは現況を十分調査してから費用対効果も含めて検討します。建築確認申請の要否の問題もありますから建築士に相談しましょう。
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新築と増築以外の工事をリフォームやリノベーション工事と言っているようです。どちらも建築基準法の用語ではありません。大規模の修繕や模様替えに該当する場合は建築確認申請が必要ですので建築士に相談する必要があります。増築設計と同様に十分な調査が第一歩となります。

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