欠陥住宅における損害請求と裁判
請負による瑕疵担保による保証か、債務不履行や不法行為に基づく損害賠償かが判明したなら、欠陥住宅の補修の範囲や賠償額を検討します。
即、裁判とする前に、調査者立ち会いのもと原因を造った相手の建築士又は施工者に調査報告をし、補修や賠償を求めます。ただし、この時点で求償の消滅時効や契約書の瑕疵担保責任期間満了日が到来していないことが肝要です。
これで、相手が建築主の希望に添って動いてくれれば良いのですが、動く意思がない場合は弁護士に相談します。
本裁判となれば、半年や1年のの裁判期間は当たり前となり、訴える方も気力と資力を消耗しまします。訴えられる方も同じなので本裁判は避けて出来れば調停で済むように持って行くべきです。
裁判では調査に基づいた事実や因果関係、そして補修範囲とその方法及び補修金額等をまとめた鑑定書が必要となってきます。
裁判は、弁護士と鑑定書を作成する調査者(一般に建築士)の共同作業で進められるのが一般的となります。裁判総費用は少なくとも50万円、通常は100〜200万円、面倒な場合や損害請求額が多い場合は500万円以上になることさえあります。
このようにならないようにするためには、なんと言っても建築時の各種のチェック体制で予防措置を取ることが大切となります。
鑑定書は私的意見を並べすぎたり、建築主によりすぎた内容であると裁判官に見られると心証を害することになりますので控えなければなりません。
裁判で”ごね得”はまず無いと考え、勝てるか勝てないかを裁判以前に冷静かつ公正な目で見通しを立てる必要もあります。
瑕疵担保は別として損害賠償は基本的に過失相殺主義であり、裁判官は原告と被告の落ち度割合で損害賠償額を算定します。裁判で被告から思いもよらぬ過失を指摘され裁判官がそれを採用しないとも限らないのです。
裁判に踏み切る前に次のことをもう一度確認しましょう。
- 不具合が、居住にどの程度差し支えがあるのか
- 不具合が、建物の財産価値をどれくらい落とすのか
- 不具合の程度や財産価値をひいき目で見過ぎていないか
- 不具合が発生した原因ははっきりしているのか
- 原因は工事業者の資材や作業によるものか
- 原因と不具合の関係を立証できるのか
- 工事期間中、原因の発生を防止したり発見する努力を建築主は怠っていないか
- 裁判に要する費用や時間、気力の維持の覚悟はあるか
再度の繰り返しになりますが、なんと言っても裁判にならないように、第三者の検査できちんと現場施工チェックをして予防するのが発注者・請負者にとって疲れない最善の方法であること言うまでもありません。
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