土地の広さと形状のポイント
まず建築主が土地選定のポイントとして挙げる項目の筆頭は広さです。田舎なら200坪、地方都市なら80坪、大都市なら25坪が住宅用地の標準的な広さでしょうが、予算の範囲で広い方が良いに越したことはありません。
それから形が正方形か細長くない長方形なら理想的です。三角形や凹凸の多い形ですと間取りや配置に一苦労を強いられるだけでなく、デットスペースも多くなります。
道路の位置と巾そして土地の間口も重要でし、土地の高低も道路高さ、隣地高さ、排水の方向関係で非常に大切です。
都市計画区域内で土地を購入する際は、接道義務として建築基準法上の道路(国道、都道府県道、市区町村道、位置指定道路等)と敷地が2m以上接していなければ建築は出来ない規定があることを忘れてはいけません。
また、敷地に落差があれば擁壁等が必要になってきます。自己敷地となる方が周囲より高いのであれば道路や隣地にあまり影響がなく工事を出来ますが、低い場合は越境工事で隣接者に大きな迷惑を掛けることがあります。
2m以上の高さの擁壁を造る場合は建築確認申請書を提出しなければなりません。その場合は、擁壁の転倒、滑り、沈下の安定計算と躯体の構造計算が必要になります。
土地によって建築の法律規制は様々
建築物に関する法律は建築基準法が代表的なものです。建築基準法は大きく分けて単体規定と集団規定に分けられます。
単体規定はどこの地域のどの土地に建てようが必ず規制が掛かるもので、建物の構造強度や衛生、防火、避難等に関する事です。
集団規定とは都市計画区域内の建築物のみに掛かる規制です。道路と敷地の関係、用途地域での建物種別及び建ぺい率・容積率の制限、防火地域での建物仕様、景観地区や地区計画等の区域での各種制限等があります。
用途地域、防火地域、景観地区、地区計画等の区域も都市計画法で定められ、建築基準法と緊密な連携を図って法の運用がなされています。
建築基準法は昭和25年に公布されましたが、その前身は1920年(大正9年)に公布された市街地建物法です。ちなみに、都市計画法は1888年(明治21年)の現東京都の市区改正条例が前身とされ1919年(大正8年)に都市計画法として成立しました。
土地を選定する上で是非とも理解しておきたいのは、建ぺい率と容積率についてです。
都市計画法の用途地域が定められている土地には建ぺい率と容積率が定められておりその範囲での建物床面積しか建てられません。
建ぺい率は、建築面積÷敷地面積で計算され、6/10とか60%とかで表示されます。
建築面積とは各階を水平投影し重なった最外周部分で囲まれた面積の事を言います。
つまり、2階建ての建物で2階が1より階跳ね出していないなら一般的に1階の床面積となります(庇の出巾などによって床面積と一致しない場合もあります)。2階が1階より跳ね出している部分があれば、その跳ね出し部分を1階床面積に加えたものが建築面積となります。
建築基準法上の角地(2方向以上の道路に交差する場所で都道府県がその条件を決めている。)に該当する場合は建ペイ率が10%アップします。また、防火地域であれば総計8/10を限度としてアップする事もあります。
容積率は、延べ床面積÷敷地面積で計算され、15/10とか150%とかで表示されます。
延べ床面積とは各階の床面積の合計のことです。
予定している住宅の建築面積と延べ床面積がここで引っかかってしまうと建物計画を見直さなければなりません。土地を選定するときの最初の関門と考えて下さい。
それから、用途地域で工業専用地域だけは住宅を建築することが出来ませんので、土地選定の範囲外として下さい。
その他に、土地に関する法が住宅の形状や配置・コストに影響を及ぼす規制として、道路斜線、北側斜線、隣地斜線、絶対高さ、日影規制、都市施設、区画整理事業、地目、農地転用、埋蔵文化財、河川敷地等を挙げられます。
このように、土地を選定する際には、住宅新築の間取りや建物高さに影響を及ぼす様々な法規制があることを理解しておかなければなりません。
どのような規制が掛かっているかは不動産屋さんのパンフレットに記載されています。ここでは説明を省略させて戴きますが規制名をキーワードにインターネットで検索すればほとんどヒットするはずです。これら全てを理解するのは大変ですが、おぼろげながらもイメージが沸くくらいまでは頑張ってみましょう。