耐震診断は市区町村の補助を利用する場合と全額自己負担の2種類があります。

住宅の耐震診断は公的補助を申請して見ましょう

ほとんどの市区町村では耐震診断の助成金制度を設けていますので、そちらに最初に問合せをして診断の申し込みを行うのも良いでしょう。

 

但し、市区町村では現地視察での耐震性能概況判断によるアドバイスは行っていませんので、その場合は、診断する住宅が存在する市区町村が認定した耐震診断登録者の建築士に相談してみることになります。

 

助成制度は市区町村で大きく違いますし、耐震診断の報告書類の作成手法も違います。全国で共通マニュアルを使用しているものの、マニュアルには2種類の計算方法が記載されており、市区町村によって採用した計算方法が違いますから結果も違ってきます。

 

そうすると、上部構造の評点という答えも違ってきて診断者としては「実のところどうなのだろう」と言う疑問も発生してきますが、共通マニュアルや役所が決めたことであり、本来正しいと考えられる答えの導き方を知っている場合でも、助成金を申請する以上は取り決めに添うことになります。

 

市区町村の助成制度に頼らない耐震診断の方が実務的に適している現場もありますが、その場合は診断結果の判断に客観性が保たれなければなりません。その場合は建築士による正式な構造計算に基づいた判断がなされることになります。

住宅耐震診断の評点

耐震診断の計算はパソコンソフトによりますが、手書きによって計算出来る能力を持っていないと実務上応用が利きません。それから、確かな調査能力と経験が大切です。

 

調査に伺うと、とりあえず建築確認申請図面はあるけれど、現場は間取りの変更があったり、筋違いの位置が開口部になっていたりとかで、確認申請図と完成が一致しない現場が沢山あります。

 

これは当時、確認申請機関の完成検査を受けるのは住宅金融公庫(現在の住宅金融支援機構)の物件だけという意識の低さが多く、その他は間取りが変わろうが筋違いの位置が変わろうが確認申請がおりていれば工事の中身は自由、というような変な通則がまかりとおっていた事が原因のように思います。

 

それでも確認申請図が残っていて筋違い種別と配置の当初計画だけでも解れば良いのですが、なかなかそうはいかず、結局は間取り調査から始めて、床下や小屋裏に潜って筋違いの位置と仕様を可能な限り目視確認する事になります。基本的に破壊検査はしません。

 

その他、基礎、外壁、内壁、屋根等の劣化状況調査、柱の傾きを調査し許容値を超える傾きの場合は床の傾きも調査します。

 

敷地の地盤耐力の推定、擁壁やブロック、雨水排水状況等も調査し建物の安全や劣化に影響が及ぶ事項が無いかどうかも調査します。

 

あとは現場で取得したデータを耐震診断のマニュアルに沿ったソフトに入力し評点計算をしますが、調査者によってデータの扱い方に多少の差異があることは否めないので、診断の評点にも多少の差異が出てきます

 

長く建築に携わっていますと、計算結果に頼らなくとも、間取りと、建物の視認できる範囲内のひずみや劣化状況から耐震性能の善し悪しが見えてくるものです。経験則と計算による評点とを比較して計算結果の妥当性を問うことも可能です。

 

評点によって建物の上部構造の耐力を次の様に区分します。

 

評  点

倒壊の可能性

1.5以上 倒壊しない
1.0以上1.5未満 一応倒壊しない
0.7以上1.0未満 倒壊する可能性がある
0.7未満 倒壊する可能性が高い

 

評点1.0未満の場合は耐震改修案を作成し、市区町村の耐震助成業助を受けて改修工事を行う場合もあります。

 

 

耐震診断の現地調査

床下調査 

壁厚調査 

床下調査

壁仕様調査

 

 

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耐震診断は建築基準法の古い(昭和56年5月末以前の)基準で建てられた住宅を調査して安全性を評価する事です。外見的にここで列挙するような形状の建物に該当する場合は耐震性能が低く震災被害に合いやすいので正式に現地調査に基づく耐震診断を受け、評価が低い場合は改修工事をしておくべきです。
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