耐震診断は市区町村の補助を利用する場合と全額自己負担の2種類があります。

住宅の耐震改修工事

耐震診断の評点が1.0未満の時は耐震改修工事をして1.0以上になるようにすべきです。

 

しかし、調査に基づくデータの採り方は診断者によって多少の差異があるため、A診断者は0.95、B診断者は1.05の評点と言うこともあります。

 

ですから、耐震改修後の評点はこのようなバラツキを考え1.1以上、調査精度に期待出来なければ1.2以上、強い安心感を得るために1.5以上とすることが望まれます。

 

0.1や0.2の評点アップはそれほど難しいことはありません。

 

改修工事は筋違いの改修や増設、構造用合板を貼り付けた壁の新設等の方法で進められるのが一般的で、工事ヶ所は普段人目にさらされる場所は極力避け、意匠に配慮しなくとも良い押し入れや物置などを優先的に選択していきます。

 

市区町村の耐震改修工事助成事業では評点1.2程度までの増強が対象ですが、個人リフォーム工事を同時進行で行いさらなる耐力アップや設備改修を行うことも可能です。こうすれば、別工程の工事で進めるよりは個人負担が少なくなるメリットもあります。

 

耐震改修工事助成事業は耐震診断登録者の監理下で進められなければなりません。改修計画に基づいて工事を進めようとしても、壁や床を剥がしてみると調査で想定していた事項と違う状態であることがしばしば出てきます。したがって、常に改修計画を練り直しながら進める必要が出てくるからです。

建物の安全と崩壊は微妙な力差

ようかんと煎餅を手で二つに割ることを思い出して下さい。ようかんは割ると言うよりむしろちぎるといった作業で二つに裂く事が出来ます。これに対し煎餅は折るように少しずつ力を入れていくと一定の力具合のところでパリンと割れます。本当に微妙な力加減の差です。

 

割り箸を二本に割るときも同じです。箸の両先端を左右に広げるように力を加えていくと一定の力に至ったところで急に裂け目から割れて2本となります。

 

このようかんと煎餅の割れ方の違いは変形抵抗力(弾性限界や硬度等)の違いに起因します。

 

建物の主要構造に多い木造、鉄骨造、ブロック造、鉄筋コンクリート造は硬度の差はあるにしても、ほんのわずかの力加減でパリンと割れる煎餅と同じなのです。

 

どこが割れるかは力の作用点が、どのように割れるかは煎餅の凹凸や硬度ムラ等が関係してきます。全体的に安定した強度を保つには割れ筋のような大きな弱点を持たないことも必要です。

 

2001年のアメリカ同時多発テロでの世界貿易センタービルの崩壊、阪神・淡路大震災での木造住宅の倒壊や高架式高速道路の転倒の様子は、建物がちょっとしたバランスで崩れ始めると、どれくらいもろく崩壊することになるかを人類に知らしめ震撼させました。

 

住んでいる建物が現在どのようなバランスで建っていて、震災時でも建物のバランスを保持し得るのか、それとも急に倒壊する可能性があるかどうかを、耐震診断で事前に知っておくことは非常に大切です。

 

そして、ほんのわずかの差で倒壊しない所まででも良いですから耐震補強を行っておくことが何より肝心です。

 

 

耐震改修工事

筋違い設置 

押し入れ合板 

押し入れ内部に筋違いを新設、筋違い金物取付

押し入れ内部に12mm合板貼り付け

 

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診断と改修工事
耐震診断は建築基準法の古い(昭和56年5月末以前の)基準で建てられた住宅を調査して安全性を評価する事です。外見的にここで列挙するような形状の建物に該当する場合は耐震性能が低く震災被害に合いやすいので正式に現地調査に基づく耐震診断を受け、評価が低い場合は改修工事をしておくべきです。
申請と評点
住宅の耐震診断は市区町村に申請して公共的補助を得て行う場合と、建物所有者が個人的に行う場合があります。前者は対象建物と調査及び評点計算にルールがあり改修工事では補助制度が設けられています。後者の場合は全て自己負担ですが全ての建物を対象とし診断者の技能をフルに引き出したい場合に適しています。

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