住宅新築本体の工事費用は発注方法でこんなに違います
工事費全体の大項目をグラフに表してみます。これまで説明してきた内容を費用の側面からまとめて見ました。
このグラフでの工事請負費の内訳%は各々のハウスメーカーや地場工務店で違ってきますが、私のこれまでの経験から当たらず遠からずの平均的な数値ではないかと考えている内容です。
建築主の皆さんに理解して戴きたいのは、工事発注方式毎にグリーンで示した現場工事費が全体工事費のどれくらいを占めることになるかと言うところです。
ここで現場工事費とは、建物の形として現場に残る部分(足場等の仮設工事は残りません。)を指します。三つの方式で同じ2000万円の工事予算で造った場合、現場に残る建物の濃度の違いが理解出来ると思います。
直営方式以外は、現場工事費の本当の比率を建築主が知り得ることはありません。請負業者は絶対明かしませんから、色々なデーターから推測するしかありません。
地場工務店の中には、現場工事費の比率を75%程度まで上げて頑張っているところもありますが数は多くありません。
グラフのその他の見方、考え方を次に列挙します。
- 大会社になるほど一般管理費は大きくなります。
- 広告・宣伝費には営業マンの報酬も含めています。
- 独自の工法や製品を売りにしている業者ほど技術開発費が大きくなります。
- 一定の構造と間取りの繰り返しが多い業者ほど設計費用と設計監理、施工管理費は少なくなります。
- 直営方式での施工(現場)管理費は建築士に依頼した場合を想定しています。
- 直営方式では工事保険や住宅瑕疵担保責任保険を合計1%程度施工管理費に計上しています。
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- 一括請負方式
- 住宅工事の一括請負方式は設計と施工を一括発注しますので、真に建築主をサポートする建築士等の専門家は不在となります。共通の設計図による同じ土俵での入札も出来ません。欠陥住宅の問題発生率も高く建築主と特殊な関係や特許技術を有している業者でなければ避けて通りたい方式です。
- 設計分離方式
- 住宅工事の設計分離方式は設計と施工を別々に分割発注しますので、建築主をサポートする建築士が存在します。共通の設計図を利用できるので同じ土俵での入札が出来ます。ハウスメーカー等の独自の特許技術の利用は困難ですが、欠陥住宅の発生を最小限に抑えることが可能です。
- 直営方式
- 住宅工事の直営方式は設計分離方式での施工部分を専門業社毎に細分して分割発注します。入札や契約は建築士がサポートしますが、全体の資金管理は建築主がします。共通の設計図により同じ土俵での入札が出来ます。自由設計とコストパフォーマンスに重点を置いた住まいづくりに向いています。