建築主は指揮を執り指示を出す前に、欠陥住宅の原因にならないか再考しましょう。

連係プレーの適切な指示で欠陥住宅や後悔住宅を防ぐ

欠陥住宅の原因のほとんどは人の作業に関することで、意図的な手抜き、知識・経験不足、連係プレーのミスから生じます。

 

この中で、やっかいなのが知識・経験不足です。既に確立した作業としてお手本がどこにでもあるのなら、そこから十分な知識を吸収して擬似経験を積みミス防止を図ることも可能です。

 

ところが世の中の法律や技術は刻々と変化しておりますので、お手本の少ない新しい知識を必要とする作業となるとベテランでも経験不足と同等の状態なってしまいます。すると、完璧な人間なんているはずもありませんからミスを犯すことに繋がりやすくなります。

 

また、どんな法律や技術でも時がたつと予想し得なかった問題点が浮かび上がって来て、そのため新しい法律や技術が生み出されます。この観点から言えば何十年も何百年も変わらず知識と経験が受け継がれてきたものこそが最もベターな選択でミスの発生が少ない作業方法となります。

 

木造在来軸組工法はその最たるものでしょう。

 

手抜きは論外ですから、最も重大なミスにつながるのは連係プレーの部分と言うことになります。そしてこの部分が欠陥住宅や後悔住宅(ここでは建築主が後からこうすべきだったと悔いが残る住宅の事を言います。)において関係者同士が責任転嫁しあうことになる部分となります。

 

それはそうなのです、いざとなったなら「こちらの見積にも契約にも入っていない作業」、「一般的にはそれは他で処理すべき作業」、「指示も無ければ打ち合わせも無かった作業」とかで自分の守備範囲だけを主張して責任追求をはねつけようとするのが人間(法人も含めて)心理ですから。

 

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民法の不法行為で損害を請求する場合、被害者は加害者の職業や地位に基づく注意義務と過失責任の立証、加害者の行為とその損害の因果関係の立証が要求されます。立証は時間と費用を要し、非常に大変な作業となります。

 

欠陥住宅や後悔住宅を造らないためには、まず、連係プレーがしっかり出来るように指揮を執り目配りをすることです。これがしっかりしていれば問題が発生したときの責任所在もはっきりします。

 

新しい法律や技術に対する知識・経験不足による問題は関係者同士でサポート体制を敷き、色々な角度から検討して取り組んで行くことでミスを軽減できます。

 

意図的な手抜きは建築主本人か第三者検査で見抜くことが大切です。

 

欠陥住宅や後悔住宅をなくすには、まずミスが発生しやすいヶ所を把握し建築主側で予防措置を採ることが最も大切となります。

欠陥住宅と後悔住宅を招きやすい落とし穴

欠陥住宅や後悔住宅にならないよう、そして、予算内で最も理想に近い建物になるようにするためには、建築主自らがポイントを押さえて指揮を執ることが必要ことは既に説明しました。

 

ここでは、建築主自らが招きやすく嵌まりやすい落とし穴について例を示して説明します。

 

土地は不動産屋さんからパンフレットを集めて候補を絞って間取りも決めました。全体予算は本サイトのソフトを利用して出来ました。銀行の仮審査も通りました。

 

次に知り合いの工務店やハウスメーカーの展示場を来訪して営業マンから情報を取得しながら具体的な提案図と見積をお願いすることにしました。

 

ここには三つの落とし穴があります。

 

第一の落とし穴

土地と間取りの関係が建築基準法等に適合しているかどうかを検証しなければなりません。

 

間取り図は誰にでも簡単に作れます。少々難しいのは階段の配置と二階トイレ等のように排水管が伴う部屋を配置するときです。

 

また、建物は敷地の効率的な活用を模索しながら敷地のどこかに必ず配置されます。そしてそこから希望の外観形状が立体的に形作られていきます。

 

この配置と外観が決まらないと建築基準法での建ぺい率容積率外壁の後退斜線制限、採光等がクリアされるか判別が付きません。つまり考えた間取りのとおり建てられるかどうかが判らない状態です。

 

お願いされた業者が提案図を作成する際に法的・技術的検証をします。そこに、建築主側が作成した間取りを大幅に組み直すとなると余計な手間が掛かります。すると業者は建築主に恩を売ったと思うのです。

 

第二の落とし穴

地盤について検証しなければなりません。

 

建物には基礎が必要です。いかにベタ基礎であろうと一定の地耐力が無いと沈下を起こし、建物が傾いたりします。また、大地震時に液状化が発生し地盤が崩壊して基礎が沈み込む現象が出る場合もあります。

 

地盤の状況は正式には地質調査を行わないと把握できません。

 

ある業者は「いい加減な見積を出せません。費用は無料としますからスウェーデン式サウンディング(SWS)試験で地質を調べてみます。」ある業者は、「ベタ基礎で十分な地盤との想定の下で見積をしますが、建物の安全を保証するものではありません。」と対応が分かれます。

 

すると前者は建築主に恩を売ったと思い。建築主は後者の業者はサービスが悪いと感じるのです。

 

第三の落とし穴

工事の発注形式を検証しなければなりません。

 

簡単な平面図だけを提示しての見積依頼は、業者としてみれば建築士がまだ入っていない段階と考え、建築主の依頼は設計と施工をセットにした一括請負と判断します。

 

この時点で、業者は100%成約に結びつくとは考えていませんが、最終的にどこの業者が工事をする事になったのかは最後まで興味があります。

 

提案図と見積を依頼する際に建築場所を明らかにしたなければなりませんから、実際は設計と工事を分離した発注だとか各工種をばらばらに発注する直営方式での工事だと判ると、何かコケにされた感じを受け不快感が沸き出るものです。

 

そのためしっかりした意思を持って業者に望むことです。特に地場工務店が相手だと気まずい状態が続き足下がおぼつかない状態に浸ることもあります。

 

気心が知れた相手でも「大丈夫、協力しますから。」の言葉の仮面の裏に、「真摯なイメージを与えながら、恩義を感じさせておけば後はこちらの思うつぼ。」という素顔があることを忘れてはいけません。ただほど高い買い物はないとも言いますから注意しましょう。

 

トラブルの基を自ら造っている状況です

 

第一と第二は設計不備を業者にサポートして戴いているわけで、第三は業者に大きな期待を与えていることになり、どの業者とも契約しなかった場合は非難されることを覚悟しなければなりません。

 

民法では契約自由の原則というものがあります。契約の形態は口頭でも書面でも意思表示があれば成立します。そして、契約するかどうかは当事者の自由です。

 

相手が費用は無料ですからと言えばそれに甘えるかどうかも自由です。

 

提案図や見積を修正しながらだんだん話が煮詰まってくると業者はもうすぐハンを押していただけるだろうとますます力が入ります。

 

ところが、いざ契約間近と言うところで建築主から契約出来ない意思表示があると業者は慌てふためきます。

 

業者としてはこれまで数十万円どころか百万円を越す費用を掛けている可能性もあるのですから簡単に納まりは着きません。ところが、建築主側は提案や見積は当然無料、地質調査も無料と言われているから、請求されるものは何も無く民法の契約自由の原則に従ってお断りするだけでOKと考えます。

 

しかし、民法には信義誠実の原則というものもあります。具体的な商談に入って契約に向けた行為(契約準備行為)を相手にさせ、契約締結上の過失で損害を与えた場合は信義則上の注意義務違反として損害賠償が認められる事があります

 

どこから商談に入ったかは個々別々に検証しなければなりませんが、繰り返し提案図と見積をお願いすれば既に契約準備行為に入っているものと見なされる可能性は大です。すると無料だったはずの地質調査さえ他の項目に上乗せして請求される事もあります。

 

指揮権を維持できなくなる状況です

 

この時点で建築主のあなたは指揮権を捨ててしまっているのです。声を掛けた工務店やハウスメーカーから恩を売られた分、営業攻勢や泣き落としに会い、提示される数々の情報の中、何が本当なのか分からないまま契約してしまうのです。その結果、出来上がった建物を前にして「こんなはずではなかった。」と後悔の念が溢れてくるのです。

 

「建物は立派だけれど予定外の支出ばかり。」「この部屋は無駄だった。」「収納が足りない。」「夫婦二人の名義にしておけば良かった。」「あと100万円借りてキッチンやユニットバスの機能を高めたかった。」等と出てくるものです。

 

これらは、建築主が住宅建築に覆い被さる暗闇を払い除けることをせず、必要な指揮を執らないまま完成に至ってしまった結果とも言えるのです。

 

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暗闇の中でどこにどのくらいの高さのハードルがあるか分からず飛び跳ねて、大怪我をしてしまうような最悪の結果にならないようにするためには、

 

  • 目の前を明るくすること。
  • ハードルや落とし穴の障害物を確認すること。
  • 自ら指揮を執り障害物を取り除くこと。

 

が肝心なのです。

 

暗闇を払いのける為に、本サイトの「パッと木造見積」と「パッと資金計画」の両ソフトと記事を精一杯活用して下さい。

 

暗闇はあっという間に明るさを帯びてきます。このような状態になればしめたものです。後は、複雑に絡み合っていて理解しがたい事項は少ないのです。その都度の知識吸収でも対応出来ます。連係プレーのポイントも見えてきます。どうぞ指揮を執って下さい。

 

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不安になってきた段階で専門家を入れましょう

 

「全体の流れを知ろう」のページ少なくともDうまく行けばEの段階までは自力で可能です。方針が決まったら少しずつ味方に着いてくれる建築士等の専門家を入れます。そして、落とし穴に嵌まらないように、欠陥工事の防止を目指して全体の指揮を継続します。

 

このサイトには建築主に共通性の高い知識は出来るだけ盛り込みますが、解決に高い専門性や経験を必要とする場面に遭遇する場合もあります。その際には、当事務所に声を掛けて下さい。コンサルタント料は発生しますが、数千万円の買い物を確実にするための必要経費と思えばきっと安いはずです。

 

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