住宅の耐震診断と改修工事の重要性
震災で最も怖いのは人命を失うこと。住める家がなくなることです。
人命を損なうことになるのは家の倒壊だけに起因するもではありません。家具やブロック塀等での圧死、火災や津波、地滑りや地盤崩壊の巻き添えに起因することも沢山あります。
そこで耐震診断を行い、改修工事等で震災に対して適正な備えをしてておけば、津波、地滑り、地盤崩壊以外の事象で人命を損なうような被害の発生はありません。
耐震性能が基準以上であれば、建物が崩壊して道路をふさいだり隣家に被害を与えたりすることを未然に防止するだけでなく、住める住宅が残れば生活を維持する事が出来ます。
耐震診断を怠って対策を講じていなかった場合、地震時に全壊や半壊し、復旧するために多額の費用と長い月日がかかることになると、大きな後悔として残ります。
それだけでなく、道路や隣接地に建物やブロック塀が倒れがかってしまうと、安全を確保するためにいざ除去や補強をしようと思っても、業者が急に手一杯となり手配をすること自体困難になってしまいます。
そうすると、消火活動や人命救助のため車や人の通行を塞いでしまうことになり、緊急避難や復旧作業にも影響を及ぼし地域社会に多大な迷惑を掛けることになります。
耐震診断で倒壊の可能性が無しとの判断になれば安心した生活も出来ます。診断結果倒壊の可能性が高い場合は、見た目は悪くとも必要最小限での筋違い打ち付けや構造用合板のベタ貼り等で応急的な措置をやっておくだけで、相当な効果がありますので、是非、診断を受けておくことを勧めます。
まさに、耐震診断は安心生活の第一歩です。
住宅で耐震性能が低いと考えられる建物形状
地盤状態や間取り構造、形状から予測できる耐震性の低い建物は次の様な物を挙げられます。
- 軟弱地盤(柔らかい粘土や腐植土が堆積した地盤)に建つ建物
- 液状化し易い地盤(水を含んだ砂地盤)に立つ建物
- 傾斜地に盛り土した地盤の上に建つ建物
- 土台のない建物
- 布基礎でない建物
- 土壁が傷んでいる建物
- 亀裂の多いモルタル塗りやタイル貼りの建物
- 柱飛びが多い建物
- 柱の基本的な太さが10cm以下の建物
- 土葺き瓦や瓦の建物
- 建物を外側面から見て(いわゆる立面的に)巾に対し高さの方がある建物
- 2階の一部が1階より突き出ていて、その部分を支える柱がない建物
- 10帖位以上の広い部屋だけが連続する建物
- 南側外面等の平面上の開口部長さがその面の概ね75%以上の建物
- 3方が建具だけで囲まれているような部屋の多い建物
- 建具と柱に1cm以上の隙間が全般的に見られる建物
- シロアリ被害がある建物
- 一辺が4m以上の吹き抜けのある建物
- 平面的に凹凸の多い建物
簡単言えば、地盤の弱いところに立っている建物、基礎が弱い建物、壁や屋根重量が重い建物、全体的に壁がアンバランスな建物、建物形状に凹凸がある建物等が該当することになります。
古い建物でもこれらに該当しない場合は、耐震基準を満足している可能性があります。
しかし、一つでも該当するなら耐震性を疑って耐震診断を受けるべきです。
当事務所では、木構造を知り尽くして調査に望みますので、評価の過大過少が出ない報告書を提出できると自負しておりますので、再調査をお望みの場合も声を掛けて下さい。
大地震での被災例
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1階店舗2階住宅の建物倒壊 |
岩塀の崩落 |
関連ページ
- 申請と評点
- 住宅の耐震診断は市区町村に申請して公共的補助を得て行う場合と、建物所有者が個人的に行う場合があります。前者は対象建物と調査及び評点計算にルールがあり改修工事では補助制度が設けられています。後者の場合は全て自己負担ですが全ての建物を対象とし診断者の技能をフルに引き出したい場合に適しています。
- 耐震改修
- 耐震診断での評点には誤差がありますので、余裕を考えておくのが理想です。建物が微妙な力加減で倒壊に至る怖さについても解説しますので、これまでよりほんの少し強い地震で壊れることもあると理解して下さい。そして改修工事は公的補助もありますので見た目が悪くともとりあえず実施しておくことが肝心です。