住宅新築での最大の問題点は?
現在、住宅建築での最大の問題点は建築主が自ら指揮棒を握らなくなってしまったことです。建築主は事業主であり、かつ客船の船長なのですから最大の権限がありますが、主導権を取らなくなってしまいました。
その理由は?
- 住宅新築は難解だから所詮素人の出る幕ではない。
- どうせ3回も住宅新築を経験しないと納得いく建物は出来ない。
- ハウスメーカーや地場工務店に全て任せれば後は工事費を支払うだけで大丈夫。
- 土地、建物、税金等に関する全体の仕組みの理解は困難だからプロに任せれば良い。
いずれもNOです。すぐ指揮棒を握り直して下さい。
先に説明した全体の仕組みと流れの大枠さえ掴んでしまえば指揮は執れます。それでも自信が無ければ利害関係で衝突しない建築士や住宅コンサルタントの専門家を味方に付ければ良いのです。専門家に依頼しても全体的に費用は高くなりません。
一生に一度あるかないかの住宅新築工事です。本来、その檜舞台を指揮するのは建築主なのです。
そうすれば、欠陥工事や急な資金調達を未然に防ぐことが出来、限られた資金で最も理想に近い建物を手に入れることが出来ます。
住宅新築では連係プレーの指揮が大切
これまで住宅新築では建築主が自ら指揮を執ることが大切であることを説明してきました。そして、全体の仕組みと流れも説明してきました。
では、具体的に何に対してどのように指揮を執れば良いかを説明します。
まず、住宅新築に携わる主な職業を次の様にグループ分けしてみます。
建築設計・工事グループ−−−建築士、建築施工管理技士、建築・土木業者と職人。
土地取得・造成工事グループ−−−宅地建物取引士、測量士。土木施工管理技士。
金融、税金グループ−−−税理士、金融機関。
登記、法律グループ−−−司法書士、土地家屋調査士、行政書士、弁護士。
次の図は、各グループの業務範囲と他グループとの関係を現した相関図です。
各グループの相関図
住宅新築はこれらの者達のグループ内やグループ間での連係プレーで進められます。
図ではそれぞれの部門の大きさはほぼ同じくらいで表していますが、実際はその新築案件毎に大きさは違ってきます。
通常は「建築設計・工事」のウエートが最も大きくなりますが、「金融、税金」部門が大きくなることもあります。だからといって「建築設計・工事」部門が縮小すると言うことはありません。それぞれ必要最小限のウエートを持っていて、他の部門と絡み合っています。
相関図で「建築設計・工事」部門を例に取ると他の3つの部門と重なる部分があります。重なっている部分は相手の分野の知識を吸収して連係プレーの時に役立てなければならない部分です。この、連係プレーが出来きなければ住宅新築チームの一員としては失格となります。
部門が重ならない単色の部分はそのグループだけが知っていれば良い、あるいはそのグループだけで仕事が完結できる部分を示します。
建築主がしなければならない指揮は、各グループに対する基本方針、それから色が重なっている部分の連係プレーに対する指示と監視です。
基本方針とは、どの土地を選んでどのように利用するか、どのような間取りでどのようなグレードの建物にしてどの業者にお願いするか、どこの銀行から融資を受けるか、土地・建物の名義を単独にするか共有にするか等です。もちろん、きめ細かに指示を出せば出すほど法律や技術的に許される限り各グループはそれにしたがって行動します。言わば、客船において進路を指示する船長の役目です。
連係プレーに対する指示はそのタイミングを指示することがメインとなります。実際の連係フレーはタイミングの指示さえあれば各部門が当然の如く行います。野球の送りバントやヒットエンドラン作戦での指揮官と選手の関係と同じです。
もう、指揮の大切さは判っていただけたと思いますが、住宅新築に関わる方々の作業能力はプロとして一定以上の能力は持っていますが、自由気ままに仕事(試合)をやらせるか指揮をきちんとしてしまりのある仕事(試合)をやらせるかの違いになってきます。
全体の仕事(試合)状況を監視しながら適切な指示を出せば、各連係プレーは緊密に作用し、しまりのあるミスの少ない仕事(試合)運びとなり指揮官の存在価値が高まるのです。
このときの指揮官の心構えとしては、作業者(選手)にただ厳しいだけではいけません、お互いの信頼関係を築く行為も進んで行わなければなりません。その行為で一番効果のあることは褒める部分は褒めることです。逆に、裏付けの無い指摘は作業者の心証を悪くして、早く現場から退散するような雑な作業を促すだけですから、思い込みだけで食って掛かるのはいけません。
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