その土地は世界に一つしか無い
時計や自動車あるいは家電の様な工場生産は同じ機種であれば寸分と違わない材質・形状・機能等を有しています。同じ品種の米や野菜あるいは果物は産地によって多少姿・形・味覚が違ってきますが、それでもリンゴがモモの味や姿になることはありません。
しかし、土地はこれらと明らかに違い、物理的に同じ位置に同じ形状の土地が二つも三つも存在することはありません。そして、どこかにそのまま移動することも出来ません。ですから土地が不動産と言われる所以であることは誰しもが知っています。
それでも、いざ住宅を新築しようといった場合この事実が軽んじられたまま計画を進められている事が意外と多くあります。そして、そこに住む人間達もそれぞれが世界で誰とも違う個性を備えた存在であることも忘れられていることがあります。
世界にただ一つの土地に世界にただ一つの個性の人間が住むのですから、世界でただ一つの住宅が出来上がるのが当然なのです。
かといって、住宅新築に当たって世界中を視野に入れて自分に合った土地を探し廻る方はいないでしょう。通常の方は自分の生活圏の中で土地を選定するわけで、極端に生活圏から離れた選択はありません。
建物の具体的計画は土地が決まらなければ出来ません。土地が決まっていれば建物計画は土地に添うしかありませんし、建物計画が決まっていれば土地選定は建物計画に沿うしかありません。
後者の場合は、広さと形、道路条件や法規制が建物計画に合う土地を探すのは困難です。
したがって、おおよその建物計画を作って土地を選定していくのがベターで、土地を購入してから建物計画をもう一度見直していくことになります。